メダカについて

世界に居るメダカ科の魚は7種類で、東アフリカからインド・東南アジアを経て中国・日本にかけて生息しています。

日本のメダカは卵生のメダカ一種類で、ヒメダカ・アオメダカ・シロメダカ等と呼ばれるメダカもいますが、別のメダカではなく突然変異によって体の色が変わったものです。

習性には変わりがありません。

日本のメダカは、北海道を除く日本各地に広がり、いつも水が枯れることのない、流れの緩やかな小川や水田・池等に生息しています。

メダカやフナ・ドジョウ・オタマジャクシ・水生昆虫たちが、バランスを保ちながら暮らしています。

 メダカの特徴

メダカは様々な特徴を備えている魚です。

◆ 日本で一番小さい魚

◆ 繁殖期間が一番長い魚

◆ 成長が早く餌に困らなければ4ヶ月ぐらいで大人になる魚

◆ 色素胞より体色変化が可能な魚

その中でも特筆すべきは、環境に対する順応性の高い魚ということです。
メダカほど、水質や水温の変化に強い魚はいないと云われています。
メダカは様々な環境に合わせ、からだのしくみを素早く変えることができるのです。
水温が40度近い温泉の中や海の水が混ざる干拓地の用水、海水中でも産卵できることが知られています。真冬に氷がはった浅い池の底でも耐えられます。

メダカは生息環境の変化に対し、かなり強い魚です

しかしそんな環境変化に適応性が高いメダカが、平成11年2月、ついにレッドデータリスト(絶滅危惧種)の仲間入りをしてしまいました。
生存の危機に瀕しているのです。

一体どうしてなのでしょう?

生存危機に立たされるメダカ

  • 狭められる住処

メダカには卵が産める、水草の生えた小川が必要です。
農業用水の水路はU字溝に変わり、河川は3面コンクリート張りになりました。
その中では、生きものたちの姿ほとんどみあたりません。
改修工事の普及や池・沼の埋め立て等が行われ、メダカの棲める環境が激減しています。

  • ライバルの存在

外来魚のタップミノーを導入繁殖させたことも要因です。
タップミノーは、アメリカ・メキシコに住む魚で、ボウフラをよく食べ、蚊を退治する目的で持ち込まれました。
和名は「蚊」を絶やす意味でカダヤシと呼ばれ、かなりの低い水温でも生きていけることから、そのまま住み着き日本各地で繁殖しています。
グッピーやタップミノー(カダヤシ)はメダカに近い仲間であり、行動はメダカによく類似しています。
中でもカダヤシは形や色等メダカとよく似ています。カダヤシはメダカよりも一回り大きく、グッピーと同様卵胎生の魚です。水草に卵を生みつける、メダカより不適切な環境下でも繁殖は旺盛で、メダカはカダヤシとの生存競争に負けて、メダカがカダヤシに生活場所を明け渡した形となってきています。

  • 外来魚による食害

釣りの目的で湖沼や池にブラックバスブルーギルが放流され、全国に広がっています。どちらも水生生物を捕食する肉食の魚です。生態系の破壊が心配されています。

  • 水質の悪化

生活廃水の流入による汚濁や農薬などによる水質汚染等もあげられます。

こうして観てくると、メダカの棲息環境を脅かしているものは、全て人間のエゴのせいだと思えませんか?

メダカが棲みやすい環境を、取り戻していかなければいけませんよネ?

生息環境の創出

 基本的な考え方

豊かな自然環境とは、様々な生き物が住み着き、食べたり食べられたりしながら全体のバランスを保っている環境を言います。
言い換えると食物連鎖が成立している環境です。
池や小川で食物連鎖の基礎を支えているのは植物性プランクトンです。
それは動物性プランクトンに食べられ、動物性プランクトンはメダカに食べられ、メダカは水生昆虫や鳥等に食べられるのです。
メダカは天敵に食べられて、減る分を見越してたくさん卵を産みます。
こうして全体ではどれか欠けても自然界のバランスは崩れ、その維持が難しくなってくるのです。

バランスがまだ保たれていない環境下で、特定個体の生存を維持させるには、人為的に最少必要限度の管理・飼育を施し、環境を育成していかなければなりません。

メダカが生存していくには

★ 食物の獲得
★ 外敵からの安全性
★ 子育ての都合のよさ
★ 配偶者の獲得

では、メダカが生息する環境の特徴を、一緒に考えて行きましょう。

生息環境の創出に向けて

  • メダカの水源には流れが必要です。メダカはいつも流れに頭を向け泳いでいます。このことで流れてくる餌を見つけ安く食べやすいのです。動かない水底の藻類を食べるときでも、流れに向かって食べるほうが体のバランスをうまくとれるのです
  • メダカの生態から観ると、日夜休むことのない流れが適しているようです
  • 護岸の構造は、水草の植栽を可能とし、流れの中にも水草を植栽できる環境が必要です
  • 流れの構造は、護岸に水生植物が茂り、流床は土であるのが望ましい。流床を土とすることで、植物性プランクトンが生息しやすく、その結果自然発生的にそれを捕食する動物性プランクトンが発生するからです
  • 水中における外敵からの安全性は、水草の繁茂や水底に落ち葉等が蓄積することで隠れ家の提供となります。身の安全が期待できるよう工夫を凝らします
  • 池や流れの中には適宜、随所に石や流木等を点在させ、住処や隠れ家として機能させましょう
  • 空中にいる外敵からの安全性は、護岸をブッシュ状にさせ、上空より飛来する鳥類等の視界を遮断します。しかし、過保護にしすぎることはせず、時間的な観点を視野に入れ、自然の摂理に委ねた極相・均衡を目指すことも必要です。外からの天敵の侵入は食物連鎖の一環ですし、やむを得ないものでもあります
  • 酸欠を起こさせないため、溶存酸素の取り入れも必要です
  • 最も重要なのはメダカ以外の魚類を放流する問題です
  • 自然の小川ではドジョウやフナ、タナゴ等は共存しています
  • コイやブルーギル、ライギョ等の大型で肉食・雑食の魚を絶対に放流しないことです

独り言

これまで、幾つか小川や池を計画してきました。「メダカの池」「メダカの小川」という名称が最も多かったと思います。
当時、公共の場所に造る機会が多かったので、その際『むやみに他の生き物を放流しないで下さい』と立て札を立てたり、お願いしたりしてみるのですが・・・。
年月が経っていくと、なかなか難しいみたいですね。色々な意味で考えさせられてしまいます・・・。(談)